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第12回機械器具設置工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社優縁工業、更新担当の中西です。

 

さて、本日は第12回機械器具設置工事雑学講座!

さて今回は

~設計~

ということで、火力発電設備の設計における重要な視点を、「基本設計」「詳細設計」「施工性設計」「安全・法規設計」の4カテゴリーに分けて詳しく解説します!

 

火力発電所は、国家の基幹インフラの一つとして、極めて高い信頼性と長期的な安定運用が求められます。その中心にあるのが、発電機器の設置設計です。設計フェーズは単なる配置図面作成ではなく、「安全・経済性・環境性・施工性」の4大要素を高次元で調和させる必要があります。


1. 🔧 基本設計:システム構成の骨格をつくる

◯ 発電方式の選定

火力発電には以下の方式があります

  • 汽力発電(Steam Power):石炭・LNG等を燃焼 → 蒸気タービン

  • ガスタービン発電(Gas Turbine)

  • コンバインドサイクル発電(CC):蒸気+ガスタービンの複合

設計は、この方式に基づいて主要設備の構成(ボイラー、タービン、発電機、補機等)を決定するところから始まります。

◯ 負荷条件・運転モードの設定

  • ベースロード運転 or ピーク対応?

  • 年間稼働時間、負荷追従性(Load following)

  • 起動・停止頻度

これにより、機器の耐久設計・冷却方式・自動化レベルなども大きく変わります。


2. 📐 詳細設計:配置・構造・配管・電気の具体設計

◯ 機器配置と搬入経路設計

大型機器(例:蒸気タービン、ボイラー、HRSGなど)の重量・寸法・耐震性能を考慮し、適切な基礎設計・搬入動線・保守スペースを確保します。

✅ チェックポイント

  • 維持管理空間(クリアランス)

  • 将来の増設スペース確保

  • 換気・遮音・排熱動線の整備

◯ 配管・ダクト設計

燃料系、蒸気系、冷却水系、排気系など、多種多様な流体ラインを圧力損失・熱膨張・支持構造まで含めて設計します。

✅ 設計要素

  • 材質選定(耐熱鋼、耐蝕鋼など)

  • 配管勾配とドレイン設計

  • フレキシビリティ解析(応力解析)

◯ 電気・計装設計

  • 発電機と系統の接続設計(変圧器・遮断器含む)

  • 計装制御システム(DCSなど)

  • 非常用電源系、避雷・アース設計


3. 🔨 施工性設計:現場で“実現可能な設計”を行う

◯ モジュール化設計

現代では、工場で事前組立(プレハブ)→現地設置という方式が主流です。これにより品質と工期を両立。

✅ 留意点

  • 現地輸送制限(道路幅、重量制限)

  • クレーン可動域と干渉確認

  • 現場での接続工数の最小化

◯ メンテナンス性の確保

将来の定期点検・部品交換が効率的に行えるかも重要な設計要素です。

タービン回転子の抜出空間

  • 安全足場の設置想定

  • バルブやセンサーの点検アクセス性


4. ⚠️ 安全・法規設計:人と環境を守るために

◯ 法令遵守設計

設計段階で、以下の法規への適合が求められます。

  • 電気事業法

  • 労働安全衛生法(クレーンや高所作業)

  • 建築基準法(耐震・風荷重等)

  • 環境基本法(排出ガス・騒音・排水)

◯ リスクアセスメント

HAZOP(危険予知解析)やFTA(故障木解析)を設計段階で導入し、未然にリスクを把握し、除去・低減設計を行います。

◯ 非常時対策設計

  • 停電時の自動停止シーケンス設計

  • 火災発生時の遮断・排煙設備

  • 高温・高圧破裂に対する逃圧・緊急遮断機構


✅ まとめ:火力発電の設計は“総合力”が問われる

火力発電機器設置工事の設計には、以下のような多様な要素が必要です

  • 技術知識(熱力学・機械・電気・制御)

  • 現場経験(施工性・安全性)

  • 法的知識(法規・認可)

  • 環境配慮(省エネ・排出削減)

設計段階での配慮がそのまま、工期の短縮・事故の予防・運転効率の最大化につながります。設計担当者には、技術者としての視点だけでなく、全体最適を見据えたマネジメント思考も求められます。

 

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