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月別アーカイブ: 2025年4月

第12回機械器具設置工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社優縁工業、更新担当の中西です。

 

さて、本日は第12回機械器具設置工事雑学講座!

さて今回は

~設計~

ということで、火力発電設備の設計における重要な視点を、「基本設計」「詳細設計」「施工性設計」「安全・法規設計」の4カテゴリーに分けて詳しく解説します!

 

火力発電所は、国家の基幹インフラの一つとして、極めて高い信頼性と長期的な安定運用が求められます。その中心にあるのが、発電機器の設置設計です。設計フェーズは単なる配置図面作成ではなく、「安全・経済性・環境性・施工性」の4大要素を高次元で調和させる必要があります。


1. 🔧 基本設計:システム構成の骨格をつくる

◯ 発電方式の選定

火力発電には以下の方式があります

  • 汽力発電(Steam Power):石炭・LNG等を燃焼 → 蒸気タービン

  • ガスタービン発電(Gas Turbine)

  • コンバインドサイクル発電(CC):蒸気+ガスタービンの複合

設計は、この方式に基づいて主要設備の構成(ボイラー、タービン、発電機、補機等)を決定するところから始まります。

◯ 負荷条件・運転モードの設定

  • ベースロード運転 or ピーク対応?

  • 年間稼働時間、負荷追従性(Load following)

  • 起動・停止頻度

これにより、機器の耐久設計・冷却方式・自動化レベルなども大きく変わります。


2. 📐 詳細設計:配置・構造・配管・電気の具体設計

◯ 機器配置と搬入経路設計

大型機器(例:蒸気タービン、ボイラー、HRSGなど)の重量・寸法・耐震性能を考慮し、適切な基礎設計・搬入動線・保守スペースを確保します。

✅ チェックポイント

  • 維持管理空間(クリアランス)

  • 将来の増設スペース確保

  • 換気・遮音・排熱動線の整備

◯ 配管・ダクト設計

燃料系、蒸気系、冷却水系、排気系など、多種多様な流体ラインを圧力損失・熱膨張・支持構造まで含めて設計します。

✅ 設計要素

  • 材質選定(耐熱鋼、耐蝕鋼など)

  • 配管勾配とドレイン設計

  • フレキシビリティ解析(応力解析)

◯ 電気・計装設計

  • 発電機と系統の接続設計(変圧器・遮断器含む)

  • 計装制御システム(DCSなど)

  • 非常用電源系、避雷・アース設計


3. 🔨 施工性設計:現場で“実現可能な設計”を行う

◯ モジュール化設計

現代では、工場で事前組立(プレハブ)→現地設置という方式が主流です。これにより品質と工期を両立。

✅ 留意点

  • 現地輸送制限(道路幅、重量制限)

  • クレーン可動域と干渉確認

  • 現場での接続工数の最小化

◯ メンテナンス性の確保

将来の定期点検・部品交換が効率的に行えるかも重要な設計要素です。

タービン回転子の抜出空間

  • 安全足場の設置想定

  • バルブやセンサーの点検アクセス性


4. ⚠️ 安全・法規設計:人と環境を守るために

◯ 法令遵守設計

設計段階で、以下の法規への適合が求められます。

  • 電気事業法

  • 労働安全衛生法(クレーンや高所作業)

  • 建築基準法(耐震・風荷重等)

  • 環境基本法(排出ガス・騒音・排水)

◯ リスクアセスメント

HAZOP(危険予知解析)やFTA(故障木解析)を設計段階で導入し、未然にリスクを把握し、除去・低減設計を行います。

◯ 非常時対策設計

  • 停電時の自動停止シーケンス設計

  • 火災発生時の遮断・排煙設備

  • 高温・高圧破裂に対する逃圧・緊急遮断機構


✅ まとめ:火力発電の設計は“総合力”が問われる

火力発電機器設置工事の設計には、以下のような多様な要素が必要です

  • 技術知識(熱力学・機械・電気・制御)

  • 現場経験(施工性・安全性)

  • 法的知識(法規・認可)

  • 環境配慮(省エネ・排出削減)

設計段階での配慮がそのまま、工期の短縮・事故の予防・運転効率の最大化につながります。設計担当者には、技術者としての視点だけでなく、全体最適を見据えたマネジメント思考も求められます。

 

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第11回機械器具設置工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社優縁工業、更新担当の中西です。

 

さて、本日は第11回機械器具設置工事雑学講座!

さて今回は

~確認事項~

ということで、火力発電の設備工事における事前確認事項について、技術・工程・法規・安全の観点から詳しく解説していきます!

 

火力発電所の建設や改修工事において、機器設備工事の事前確認はプロジェクト全体の成功を左右する重要な工程です。特に発電効率、安全性、環境への配慮などが強く求められる現代において、初期段階での確認不足は大きな損失につながる可能性があります。


🔧 1. 機器の仕様確認と適合性評価

◯ 発注仕様と実機仕様の整合性

火力発電に使用される機器は多岐にわたります(例:ボイラー、蒸気タービン、復水器、燃焼器など)。設計段階で作成された仕様書と、納入される実機の仕様にズレがないかを確認することが極めて重要です。

✅ チェックポイント

  • メーカーの仕様書と工事仕様書の照合

  • 耐熱温度、圧力範囲、寸法、公差などの確認

  • 材質・溶接・表面処理の合致

◯ 国際規格・国内法規との整合

JIS、ASME、ISO などの国際・国内規格に準拠しているかを確認します。また、日本国内での使用においては、電気事業法・高圧ガス保安法などにも適合している必要があります。


🗂 2. 図面・施工計画書の整備

◯ 最新図面の整合性

図面には、設計変更が加わることがよくあります。そのため、最新の改訂番号が反映されている図面を用いることが原則です。

✅ チェックポイント

  • 各部機器の配置図・系統図・配管図の整合

  • 詳細図・基礎図・制御回路図の整合性

  • CADデータと紙ベース資料の内容比較

◯ 工程管理とのリンク

施工スケジュールが図面に基づいて立てられているか、クリティカルパス(重要工程)に遅れが出る可能性がある部分の分析も事前に行っておきましょう。


⚠️ 3. 安全対策の確認

◯ 危険予知活動(KY活動)

工事中の事故防止のため、危険予知活動(KY)の計画を立て、作業員全員と共有する必要があります。

✅ 確認すべき内容

  • 高所作業・重量物取扱い時のリスク評価

  • 熱作業(溶接・ガス切断)時の防火体制

  • 有害ガスや粉じんの発生防止策

◯ 消防・避難計画の整備

発電設備は非常に高温・高圧の機器が多いため、緊急時の対応計画も準備が必要です。


📋 4. 現地調査・インフラ整備状況の確認

◯ 地盤・基礎の状況

設置予定地の地耐力、振動特性、地下水位などは事前に測定し、それに基づいて基礎設計を行います。

◯ 電源・給排水・通行経路の確保

大型設備搬入には道路の制限やクレーンの配置なども検討が必要です。事前に搬入ルートや仮設工事計画を精査しておくことで、現場でのトラブルを防ぎます。


📑 5. 法的・行政手続きの確認

◯ 許認可の取得

火力発電設備に関わる工事では、複数の行政手続きや申請が必要です。

  • 建設許可・設備設置届出

  • 電気主任技術者選任届

  • 環境アセスメント関連資料

◯ 地元住民・自治体との調整

地域との関係構築も非常に重要です。騒音、振動、工事車両の出入りなどについて、住民説明会や周辺対策を講じておくことで、のちのトラブルを防ぐことができます。


🔚 まとめ:事前確認が安全と効率のカギを握る

火力発電機器設備の工事は、ひとつのミスが大規模なトラブルを引き起こす可能性を持っています。そのため、工事前の確認作業こそがプロジェクト成功の最重要フェーズと言っても過言ではありません。

✅ この記事の要点

  • 機器仕様と図面の整合性を徹底確認

  • 工程管理と安全計画を密に連携

  • 地盤調査・行政手続きも抜かりなく

最前線の現場で活躍されている皆さまにとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。安全第一で、良い設備工事を進めてください!

 

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